第2段階 病院原価の計算による自院の損益構造認識

第1段階では、DPC病院としての基礎をつくるわけですが、あくまでも収益ベースでの診療報酬への取り組みや、生産性の向上のための対策や増患がテーマになっていました。
そもそも、いくら収益をベンチマークにより揃えても、それぞれの病院の損益構造は異なります。
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ある病院は建物や施設が新しく、また医師も給料が高い。看護師の年齢は低く人件費は低いが、生産性が低くアクシデントなどのロスが多く発生する。リース料は他の病院よりも安いが、医療材料の購入価は高いといったようにさまざまな構造をもって病院は運営されています。
したがって、収益を揃えても利益が異なる。また支払条件や未収金の発生などによりキャッシュフローも異なるといった状況があります。そのようななか、ベンチマークだけやって喜んでいるわけにはいきません。ベンチマークやなくなってしまう出来高との比較を繰り返しても、一定程度の成果をあげることしかできないことに早く気がつかなければなりません。
第2段階では、原価に切り込み、またコストにより深く切り込み利益をどう確保するのかといった段階に入ります。
①部門別損益計算
②診療科別損益計算
③指標管理
④患者別疾病別減価計算
がその対象です。
当社では10年以上これらの病院管理会計に対する支援をしてきています。部門別損益系計算や診療科別損益計算を徹底して実行する必要があります。
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これらにより、病院全体として、どの部署に問題があるのは、また、どの部署に解決すべき課題があるのかを鮮明に理解できるようになります。さらに、DPC毎の原価を理解することで、どの治療にはどれだけの利益がでているのかを直ちに理解することができます。
ただし、患者別疾病別減価計算においては、部門別や診療科別から計算される治療間接費の配賦額が延べ患者数により増減することを知る必要があります。ある固定費を100人で除して配賦するのと、200人で配賦するのでは、一人当たり固定費の額が異なることはいうまでもありません。
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増患したとたんに患者一人当たりの利益は増加します(もともとDPCの調整係数等で一人当たり利益が増加しても、患者数が減れば、絶対収益(収益の総額)は少なくなりますし、配賦される固定費も増加して、ダブルで利益が減少することになります。DPCが増患対策をないがしろにできない大きな理由の一つです)。
いずれにしても、まず部門別や診療科別損益計算を実施し、のちに患者別疾病別減価計算により患者さん、疾病毎の利益を把握する。そして、どこをいじれば原価が低減するのかについて課題を出し、その課題をそれぞれの部署が解決するように活動することが必要です。
そのことにより、一人当たりの利益が確保され、さらに全体として多くの患者さんを診ることができるようになれば、さらに病院全体としての利益をも増加させることができるようになります。
なお、この場合には、ブリーフィングシステムを導入し、作成した管理資料により毎月院長と診療科のトップが面談を行い、どこに先月の診療の問題があったのか、そしてどうすればよいのかについて徹底的に議論をしたうえで、当月の治療に当たるといった体制をつくりあげ、外来・入院の全体的マネジメントを行える体制を整備していくことが必要です。
ここでのポイントは、管理会計により医師に診療データを提出し、医師が自分の仕事を反芻できる環境をつくりあげていくことにあります。損益構造や原価構造を把握する、そしてそれをベースに医師と議論する。
こうした環境をつくりあげることが最終的な第2段階のテーマとなります。